医療・介護関係者の方へ
歯科訪問診療・訪問口腔ケアのご案内
当会の事業として居宅にて歯科訪問診療・口腔ケアを提供できるサ-ビス体制を整備しています。
近年は病院より退院された患者様を地域の医療・介護・福祉チ-ムが連携しサポ-トする必要が高まっています。
そのため当会は居宅に訪問して、歯科診療のみならず口腔ケア(摂食・嚥下障害の改善、誤嚥性肺炎の予防)などに対しても積極的に取り組み、要介護高齢者が退院後も安心して在宅生活をおくれるようにQOLの向上と自立の支援を図っていきたいと思っております。
南河内歯科衛生士会と協力して、医師会、薬剤師会をはじめ地域の医療・介護・福祉関係の方々と連携して、居宅での訪問歯科診療・口腔ケアサービスの提供を通じて、市民の皆様が安心して暮らせる街づくりの一端を担っていきたいと考えています。
ご要望の方は「歯科訪問診療について」を参照ください。
口腔ケアの重要性
(在宅療養者に対する看護師、支援するスタッフや介護者の役割 )
在宅や施設で療養されている方は高齢者が多く、また様々な疾患を抱いています。高齢者では特に寝たきりになることで廃用が進みやすく、口腔機能の低下から誤嚥性肺炎にもかかりやすくなります。安全な摂食のため、また誤嚥性肺炎や口腔機能の廃用予防のため、介護者による日々の口腔ケアはとても重要です。
口腔ケアとは「歯、舌、粘膜、義歯などの器質的ケアと、それらを使って食べたり、話したりする機能を維持・回復するための機能的ケアの2つに分けて考えるとよい」と言われています。
口腔ケアの必要性には以下が挙げられています。
1) 誤嚥性肺炎の予防
誤嚥性肺炎は食物を誤嚥することで発症しますが、絶食中の場合でも口腔内に貯留した唾液の誤嚥や逆流してきた胃液を誤嚥することでも起こります。口腔内には多くの微生物が生息し、歯や舌、義歯に付着した食物残渣や微生物から歯垢(プラーク)や舌苔などが形成されます。歯垢や舌苔に含まれる口腔内細菌はう蝕、歯周病だけでなく、誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎、敗血症など全身疾患の原因菌ともなります。しかし、口腔ケアを行うことで口腔内細菌をある程度抑えることができます。これにより少量の唾液を誤嚥しても、肺炎に直接関与するのを予防することができます。
2)唾液の作用を引き出す
唾液には咀嚼や嚥下運動を助ける働き、消化作用や洗浄・抗菌作用といった感染を防ぐ働き、発声・発音のため口唇・舌の動きを滑らかにする働きなど、様々な働きがあります。人間は食べていると唾液分泌が多くなりますが絶食中の方にはその働きがどうしても弱まってきます。唾液による自浄作用は肺炎防止にもなります。このことから絶食中の口腔内に刺激を与えて唾液分泌を促し、作用を引き出すことが必要になってきます。
3)廃用性症候群の予防
寝たきり状態が続くと特に高齢者では身体の拘縮が進み、廃用性症候群になります。それと同様に口腔周囲筋群の廃用が起こる要因としては、活動性の低下や発語量の減少、絶飲食、臥床状態などがあります。口腔周囲の筋肉や舌・口唇の廃用が進むと、開口困難や舌の動かしにくさからしゃべりにくいなどの症状が出てきます。
4)脳の活性化
食べ物を咀嚼や嚥下することや口腔内で味わうこと、温かい・冷たい・硬い・やわらかいを感じるということが脳を活性化させます。大脳皮質の運動野や知覚野の1/3を占める部分が口腔器官に関る部分であるからです。絶食中であったとしても、口腔ケアによる口腔内マッサージや味覚刺激を行うことが脳の刺激にもつながります。