始めよう口腔ケア

肺炎を予防して口からいつまでもおいしく食べられるように!

 
超高齢社会の中、重度の要介護者にならないために何らかの対策が必要になってきています。

要介護高齢者の健康を維持していくための手段として「口腔ケア」が注目を集めています。

 「口腔ケア」が単なる口の中のケアだけではなく、発熱や肺炎の予防・飲みこみ障害の改善といった全身の健康維持にも関連することが最近の研究でわかってきたからです。
お口は「食べる、息をする、話す」という重要な器官です。
 老化や病気の後遺症で口やのどの筋力が弱り飲み込む力が低下すると飲みこみ障害(嚥下障害)を起こしたり、口やのどの細菌が気道に入り込んで、飲みこみ肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こしたりして要介護高齢者の「生活の質」を低下させるだけはなく、命に関わることにもなります。
 食べることは、単に命をつなぐだけではなく、食を味わい、家族や仲間と交流し、人生を愉しむなど社会的意味合いの強い行為であり、人間尊厳の根幹に関わることでもあります。お口の健康は全身の健康につながっています。食べる、話すというお口の機能が停止してしまうと、人がその人らしく生きるという生活の喜びを失ってしまうことにもなります。 「口腔ケア」は歯ブラシなどを使う口腔清掃(器質的口腔ケア)と、おいしく食べられる口づくりのための口腔機能訓練を中心に行う口腔リハビリテーション(機能的口腔ケア)とに分けられます。 この二つを組み合わせた口腔ケアを行い、誤嚥性肺炎を予防するとともにいつまでも口からおいしく食べ、また家族や仲間と楽しくお喋りできるように要介護高齢者を支援していきます。

 

1.口腔ケアとは

歯と口のケアは、むし歯や歯周病予防のためだけでなく、全身の健康を守るためにとても大切です。 口腔ケアを必要としている人は、身体機能の低下に加え、多くの場合摂食・嚥下障害など何らかの口腔機能の低下がみられ、器質面だけでなく機能面から のケアが欠かせません。口腔ケアは、口腔内の歯や粘膜、舌などの汚れを取り除く器質的口腔ケアと口腔機能の維持・回復を目的とした機能的口腔ケアから成り 立っています。この2つが、うまく組み合わされることで、口腔ケアの効果がさらに高まります。

2.口腔ケアの目的

口腔ケアには、次のような目的があります

 

3.口腔ケアはセルフケアとプロフェッショナルケアが基本です

口腔ケアの基本は、自分自身で行う毎日のケア(セルフケア)と歯科医師・歯科衛生士による口腔清掃についてのアドバイス、専門的歯面清掃および口腔機能に対するリハビリテーション(プロフェッショナルケア)です。
また、要介護者ではこれらのケアに加えて、介護職や看護職によるケアが大切になります。